2025.08.01
磐座- IWAKURA 神宿る島の巨石と光
濃霧の彼方に
足掛け1年(撮影日数は約1ヶ月)にわたる番組ロケでは、回遊魚の狩り(動)と巨石信仰(静)という対局にある表裏2つのテーマが、並列に敷かれた途方もなく長いレールのように存在していた。無事に撮影はスタートしたものの、まるで深い霧の中を彷徨うような日々だった。沖ノ島のご神体が霧を操る神だとはいえ、番組の撮影は宗像大社の特別な許可を得ている。少しでも脳内をポジティブなイメージで満たそうと、日露戦争開戦中に沖ノ島の沖合でバルチック艦隊が濃霧に翻弄されて撤退し、日本が大勝利をおさめた歴史の断片を想い浮かべる。そして島のご神体である田心姫神に撮影成就の祈りを何度も捧げたのであった。