2025.02.01
トカラクルーズ 虎の穴修行編
re;cruise 写真・文 古見きゅう
プロローグ
約半年振りとなるトカラ列島取材。前回の取材時に「半年後に奄美縦断のトリップを行うので、良かったら乗船しませんか?可能ならば往復で!」との提案をもらった。枕崎からトカラを越え、奄美までの道程を潜りながら旅するなんて、ロマン溢れ過ぎじゃないか!ということで、早々とスケジュールを押さえ、航空券もゲット。「あそこではこんなの撮って、こんなシチュエーションなんか見られるかな?」未だ見ぬ海域や島を妄想し、気持ちが勝手に昂る。ダダ漏れとなったヤル気を、抑えに抑え出発が間近となったある日、木村さんから連絡が入る。
船の発電機の故障により船泊が難しいため奄美への渡航をやめて通常のトカラ企画に変更させてくださいm(_ _)m
ガーーーーン…。なんてこった。
とは言え不可能なものは仕方ない。今回は縁がなかったということで、またの機会に期待するしかない。そうそう。残念がって執着するよりも、パッと頭を切り替えて、今回も良い撮影ができるように集中しよう !ということで、鹿児島空港へと飛んだ。
鹿児島空港に夜の到着だった。羽田に着いた時は、そんなにお腹も空いていなかったので食事は取らず、鹿児島空港に着いたらお店に入って何か食べよう。なんて思っていたのだが、鹿児島空港に着くと、レストランはおろか全ての売店が閉店準備をしている…。「あの~、もう食べられないんですか?」恐る恐る、バタバタと店仕舞いをしているお姉さんに声をかけると、「もう終わりです!」と、冷たく一喝。
とほほ。黒豚とんかつ食べる気満々だったのに…。
あまりにも腹が減ったが、辛うじて開いていたコンビニでおにぎりを買うことができた。しかし、そこは閉店間際のコンビニ、品薄状態。欲しい具材は買えず、そして完全に黒豚とんかつモードになっていた僕の心も、鎮まることはなかった。
待ち合わせ場所となる空港内のベンチに座り、黒豚とんかつの怒りに震えながらおにぎりを頬張っていると、枕崎ゲストハウスMACの貴大くんが迎えに来てくれた。「きゅうさん今回はラッキーですね!明日から久しぶりのベタ凪ですよ~」と嬉しそうに話してくれたが、「そうなんだね~!でもそんなこと言っても、また時化るんでしょ?」なんて若干心が荒んでいた。それもこれも黒豚とんかつのせいである。
帰りに絶対に喰ってやると強く心に決め、一路MACへと向かった。