2024.08.01
玄界灘の季節
玄界灘を世に知らしめた一枚の写真
初めて玄界灘を潜ったのは今から6年前の2018年7月。それまでは地元福岡のダイバーでさえ、玄界灘は釣り人には人気だが、ダイビングできるの?と言う程知名度は低かった。
「越智さんが、玄界灘にメディア取材で潜った最初の水中写真家です」サンズダイブのオーナーガイド、木村尚之さんに当時言われた言葉を今でも覚えている。
初めて取材する海を、どれだけ写真や文章で表現することができるのか?写真を見たダイバーに興味を持ってもらえるのか?プロモーションメディアに従事する上で、その事は、常に意識して取材していたし、今でもそれは変わらない。
できることなら、ダイビングディステネーションとしては、地元のダイバーにさえ無名の海を全国区に!そしていつかは世界中からダイバーが訪れる海に!そんな思いで取材に挑んだ。それは、仲間のダイバーたちと一緒に玄界灘を潜り続け、開拓していた木村さんも同じ思いだったに違いない。
一枚の写真がそれを実現する足掛かりになった。それが「和製サーディンラン」と名付けたこの写真だ。
一つの生命体のように蠢く、イワシの群れ、それを取り囲むヒラマサの群れ。海中には、ヒラマサに捕食されたことを物語るイワシのウロコが散乱し、生存を掛けた捕食者と非捕食者の激しい攻防を垣間見ることができた。同写真もまた、まるで一つの宇宙を表現しているかのようだった。
同写真はまず多くの水中写真家の方たちの目に止まったと聞いた。玄界灘という海は一体どんな海なのか!?その後多くの水中写真家たちが、玄界灘を訪れて、この海の魅力を世に発信するきっかけになったと言われた。
そしてコロナ禍で海外に行けなくなったダイバーたちの新たなダイビングディスティネーションの一つとしても大いに注目を集めることとなった。