ワンエクロゴ

2024.01.15

奄美から枕崎までのワンエク・トカラ縦走クルーズ上り(3月と10月に乗船して)

10月後半、秋のトカラ縦走上りクルーズ

10月の後半、再び奄美大島に降り立ち、秋のトカラ縦走クルーズに乗船した。
今回は、まずはトカラ最南端の島、横当島へ向かった。

トカラ最南端の横当島

横当島周辺でマッコウクジラを少し捜索した後、チャートトラップというポイントへ。

トカラでは良く見かけるムレハタタテダイの群れと、ヨスジフエダイの群れ
根の上には無数のサヨリが群れていた

水深120mの海底から突き出した鋭い隠れ根“オールブルー”

2本目、3本目は小宝島近海まで移動して、初めて潜る隠れ根をリサーチ。海図では120mの海底から20m付近まで一気に突き出した剣のような鋭い隠れ根。1本目のエントリー前に根の近くで大きなナブラが立っていたので、素潜で入ってみた。ツムブリと大きめのいアジが、小魚を捕食していて、ダイビングでも大きな魚の群れや大物が出現するのではないか!と期待させてくれた。

ナブラの下にはツムブリの群れが!

しかし、少し潮上から距離を取ってエントリーしたのだが、根が小さかったこともあり、移動ルートが若干西側にズレてしまい、見つけられずにブルーウォーターを泳ぎ続けた。2本目は根の見える距離でエントリーして、すぐに根にアプローチした。

水深30mをトップにした根と、そこに隣接して20m付近までは鋭い根が伸びている。120mのボトムは漆黒の闇のようで、そこから突き出した根は、海底から突き出した鋭い剣のような印象だった。

根の側面部は、全体がオレンジ色のソフトコーラルに覆われていて、ストロボ光を当てると、暗い海中を明るく彩る。その上には、キンギョハナダイが乱舞していた。周囲にはテングハギモドキの群れや巨大なグレーリーフの姿も。海中からはギンガメアジの大きな群が湧き上がってきて、ダイバーの間を縦横無尽に泳ぎ回った。一際大きな体躯のロウニンアジの群れも一瞬コラボして、ダイバーを興奮させた。カラフルなソフトコーラルとギンガメアジの群れのコラボを狙ってみたが、なかなか思うような撮影はできず、次回潜る時の課題となった。

1本目のリサーチで根を外し、ずっと青い海中を泳ぎ続けたことから“オールブルー”というポイント名が付けられた。

テングハギモドキの群れ
ギンガメアジの群れに乱入してきたロウニンアジの群れ
ギンガメアジがダイバーを取り囲む
海底から湧き出てきたギンガメアジの群れ

トカラ縦走クルーズは、ガイドの木村さんが、リサーチしてみたいポイントがまだまだ沢山点在している。過去にマーシャル諸島やパラオでのリサーチダイビングに何度も付き合ったことがあるのだけど、リサーチダイビングは、当たると凄いけど、外すことも多いリスキーなダイビング。何を一番に求めるかというと、新しく海を開拓していくという冒険心と何がでるかわからないワクワク感。これ無くしてトカラの海は潜れないのである。正直、撮影の撮れ高を考えると、一発狙いの被写体も多くて、なかなか難しいカメラマン泣かせの海であることは間違いないのだけど、それを上回る冒険心や探究心を満足させてくれるのが、トカラの海とワンエクのダイビングスタイルだ。

記念ダイブの撮影
激流やダウンカレントにつかまりながらのダイビングが続くことも

キャプテンキッドの財宝が隠されているという言い伝えと、巨大ウォールアートの宝島

奄美をスタートして初日は、宝島の湾内に船を停泊させて宿泊。宝島は隆起したサンゴでできた、空から見るとハート型をした島。大航海時代、イギリスの海賊キャプテンキッドが財宝を隠したという言い伝えがあり、実際に国内外から多くの探検家や賞金稼ぎがこの島を訪れたと言う、トカラ列島の中でも注目度の高い島だ。港には、2022年に宝島壁画アートプロジェクトで描かれた新しい巨大壁画があって、こちらも他のトカラの島々に比べて活動的な印象を受ける。

宝島の港にある巨大壁画。クラウドファンディングで資金を集めた
一番気に入ったのは、このザトウクジラの壁画

宝島近海のポイントリサーチ。シルバーチップに遭遇!

ダイビング2日目も宝島、小宝島近海でポイントリサーチダイビングを行い、舞立岩の近くの沈み瀬と、黒岩の沈み瀬に潜った。ワンエクでは、これまで宝島、小宝島近海ではあまり潜っていなかったために、今後使えるポイントの開拓は、今回のクルーズでは必須事項でもあった。

舞立の沈み瀬のトップにあるイソバナの群生

結果としては、黒岩の沈み瀬で、なんとシルバーチップ3匹の他、ロウニンアジ、イソマグロ30匹ほどが根の周囲を回遊しているのに遭遇した。瀬の上にはヨスジフエダイが群れる根があって、上手く狙えば、このヨスジフエダイの群れとイソマグロの群れを絡めて撮影できそうだった。

パラオやマーシャル諸島など、ミクロネシアでのシルバーチップ遭遇は何度かあったけど、日本国内で警戒心の強いシルバーチップとの遭遇はなかなかレアで、これもトカラが未開の海であることを実証していると言える。

これが湾内!?透明度の高さと美しい砂紋の砂地の海底に癒された小宝島

2本目を終えて、小宝島の湾内に停泊してランチ休憩。この湾内、海の青さが凄くて、食事後に素潜りで砂地とゲストをモデルに撮影してみた。これが湾内!?とちょっと驚くほどの透明度と綺麗な砂紋の砂地に感動しながら撮影。

狭い湾内にこんな透明度の高い砂地のエリアがあることに感動した

3月に続き、異様な程のパワーを感じる悪石島に再上陸!

3本目は、オールブルーに再チャレンジして、悪石島まで移動して停泊。

悪石島は、トカラの島々の中でも、個人的に一番島からのパワーを感じる島。宝島のようにサンゴが隆起してできたのではなくて、ここから北は、海底火山が噴火して海面に出来上がった島々が、続く。その中でも悪石島の景観は圧倒的だ。車を使わせてもらって、島内を撮影させてもらった。

ワンエクが停泊した悪石島の港
立ち枯れた木々も悪石島の印象的な風景
ボゼが祀られている悪石島の集落にあるテラ

ボゼは、悪石島のお盆の行事の最後に出現する来訪神で島民の穢れを払ってくれる神様。このお面に身体はビロウの葉で覆われた姿で登場する。パプアニューギニアには仮面部族が集まる祭りがあるが、その中に加わっても違和感が無い。仮面部族は、精霊でボゼは神様だけど。

集落のテラの境内の木々も印象的だ
集落内で出会ったアオサギ

強風と荒波にも負けず北上!

ダイビング3日目は、西風が強く、潜りたいポイントに潜れず、中之島の摩天楼を2本潜って終了。トカラ最北端の島、口之島まで移動して停泊した。

噴煙を上げる諏訪之瀬島
トカラ最大の島、中之島
2日間滞在した、トカラ最北端の口之島の夕景

トカラを代表する癒し系ポイント・港のヨーコ

口之島滞在の4日目も風が止まず、しかもどのポイントも3ノットの激流れ。

潜ったのは口之島周りの赤立、港のヨーコなど、イソバナやハードコーラルの美しいポイントに。そして少し波が落ち着いた午後に、芽瀬にトライするが、激流すぎて潜れず。小臥蛇、臥蛇島とチェックするが、こちらも激流。結局、臥蛇島の瀬崎の潮裏で潜る。トカラの激流は半端なく、波が落ち着いてもこの日のように激流で潜れない場合もある。ただ、そんな時に潜る癒しのポイントも彩豊で、個人的にはじっくり撮影ができるので嫌いじゃない。
11月に入ると捕食マンタとの遭遇率が上がるそうなのだが、今回は少しシーズンには早かったため、水面を捜索したりもしたが1枚も遭遇することは無かった。

ダイビング最終日の5日目は海が穏やかになったので芽瀬に向かう。昨日と打って変わって、全く流れが無かったので、流れのあるエキスパートロックに潜るが、こちらは根待ちする余裕もなく、あっという間に流されてしまった。

タイガーシャーク遭遇率No1の黒島ミノティラ

その後、3時間以上かけて北上し、大隈諸島の黒島はミノティラで2本。水温は2度近く下がった。ここは、去年発見されてからタイガーシャーク遭遇率が一番高いポイントということで期待したが、見れたのはカマストガリザメのみだった。
ウメイロモドキとムレハタタテダイの群れのコラボは圧巻だった。

初春と秋のトカラ縦走上りクルーズに乗船した。撮影はいつも納得の行くものがなかなか撮影できない海ではあるのだけど、新しいポイントを開拓する現場にいれることは、良い写真が撮れたのとはまた違う満足感がある。しかし、そんな撮影が難しいダイビングで、「これだ!」という1枚が撮影できたときの高揚感は、また格別だ。

日本国内では、冒険心を擽られるダイビングができる海も少なくなってきている。そんな中で、ワンエクが開催するトカラ縦走クルーズには、まだまだ見果てぬ海を制覇する!という夢とロマンが詰まっている。いつも成功するわけではない、だからこそ成功したときの感動は一際大きく心に残る。

きっと木村さんは、ワンエクの船首に立ち、トカラの海を見つめながら「海賊王に俺は成る!」といつも心の中で呟いているのではないだろうか。そんな姿を私はゾロかサンジのように時々傍で見守っていたいと、この海に来るたびに思っているのだ。因みに平田船長はフランキーで、ガイドのかな子ちゃんはナミと言うよりは、チョッパーという意見が多い。「うれしくねーぞ!このやろ~!」という声が聞こえてきそうだけど。

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