ワンエクロゴ

2024.04.15

「そりゃあ、(この海が)好きだからだろ、やっぱり!」2024年ワンエク・トカラ列島縦走北上クルーズ&調査クルーズリポート

Photo & Text:Wonder Sea Explorer Under water photo Trooper Takaji Ochi

爆シケと浮遊物だらけの海中に悩まされ続けたクルーズ
トカラの海はカメラマン泣かせ!

Into the Blueでの徳之島、奄美でのザトウクジラのシーズンを終了して、2023年3月と10月(https://wonder-sea.com/recruise/vol_1/)に引き続き、奄美の名瀬港より、Wonder Sea Explore(以下ワンエク)に乗船して、トカラ列島を北上する縦走クルーズに取材で参加。同北上クルーズ後に開催された春のトカラ調査クルーズにも連続で乗船した。

双方合わせて2024年3月23日(土)から3月30日(土)までの8日間(28日は枕崎で休息)のロングクルーズ。2024年の3月は、徳之島も奄美も例年よりも風の強い日が多く、クジラ捜索も苦戦していたが、流石に3月も後半だし、これだけの日程があれば、どこかで好天に恵まれるだろうと高を括って望んだクルーズだったが、結果は、ほぼ毎日、強く吹き荒れる南西風と荒れる海、曇天と雨に悩まされ続ける荒天の日々を過ごすことになった。

唐突ではあるが、トカラの海は、水中写真家としてテーマにするにはかなりハードルの高い海だと感じている。過去に様々な海で撮影、リサーチダイブを行ってきたが、トカラほど撮影が困難な海はそう多くは無いのではないか。この海に来るたびにそう思っているのだが、何故か心惹かれてついつい誘いに乗ってしまっている自分がいる。

目の前まで接近してきてくれる巨大カンパチ

もちろん、ワンエクを指揮するガイドの木村尚之さんのダイビングスタイルやこだわりによるところはとても大きいとは思うのだけど、それを差し引いても黒潮のぶち当たる激流、奄美からトカラ最北端の口之島まで点在する孤島を巡りながらのダイビングは、エリアの広さ、天候の影響を受けやすさなど難しい条件が多く、納得のいく撮影が出来ることはことはほとんど無い、、、。

水中写真家・吉野雄輔さんに聞いた、トカラの海の印象

「世界で一番美しい海のいきもの図鑑」(創元社)で有名な水中写真家の吉野雄輔さんが、一昔前にトカラを何度か潜った経験があるのだけど、「激流過ぎて、まともな写真が撮れた記憶が無いよ!(笑)」と言っていた。そう、トカラの海は普通でもカメラマン泣かせの海なのだ。「トカラは南に行くにつれて、男っぽい岩礁の海から、まるで沖縄で潜ってるみたいな優しい海に変わるだろ、イソバナの群生やハナダイの乱舞、サンゴも綺麗、静かで綺麗なポイントもあるのに、何故か潜るのは激しいポイントばっかりだったよ(笑)」と当時を振り返る。「そ、そうですよね〜」と話を聴きながら同意する。

吉野雄輔氏著、2024年4月現在、23000部も売れている海図鑑のベストセラー「世界で一番美しい海のいきもの図鑑」ちなみにトカラで撮影した写真は使われているか聞いてみたが、無いとのことだった。当然か(笑)

「作品、作る暇がないよな、だって流されちゃうんだもん、何回か行ったけど、写真全然残ってないよ!当時はフィルムでニコノスVだったしな!」と豪快に笑う雄輔さん。「じゃあ、そんなに写真撮れないのに、なんで行くんですかね?」という問いに、「そりゃあ、(この海が)好きだからだろ、やっぱり!」この発言にも大いに同意した。

トカラのゴール・D・ロジャー?レジェンドガイド(海賊)の存在

ちなみに、この豪快な雄輔さんをトカラの海に導いた人物の名前は森田海王さんというガイド。木村さんに知ってるか尋ねると、「お会いしたことは無いけど、トカラのダイビングポイントを最初に開拓した伝説の海賊みたいな方です。僕らが“トカラの麦わらの海賊団”なら、あの人は“ゴール・D・ロジャー”みたいな人」。そんな人がいるのか、、、。「危ないところ平気で潜っていく、ガタイもデカくて、怪物みたいな人だったよ。何人かで激流時に潜って、水深40mの根のトップに絡みつかないといけないんだけど、激流すぎて皆掴まれずに流されちゃって、俺と海王さんだけになっちゃってとかさ、掴まるのが精一杯で、ニコノスでさえ、横に振れない激流で、写真なんか撮れたもんじゃなかった。そんなダイビングにばっかり連れて行くんだよ」と嬉しそうに話す雄輔さん。

海王さん、その後の経歴も豪快で、ヨットで世界一周中に遭難して豪華客船に救助されたとか、ドミニカに移住して観光大使みたいになって、里帰りした時には、ナタリーって言うドミニカ人の彼女を連れて帰ってきただとか、まさに海賊を地で行くような人だったようだ。
ワンエククルーズはそんな先駆者の足跡を追う冒険でもあるということか。

結果より過程を楽しんでもらいたい海、それがトカラ

「結果より過程を楽しむ海」トカラを潜る上で、ガイドの木村さんが心掛けている考え方だ。つまり見られるものを当たり前に見にいく“結果有りきの海”ではなくて、何が出るかわからない、その過程を楽しむのがトカラ。これは、海王さんの海に対する姿勢にも共通するのだろう。しかし、カメラマンとして、結果が残しにくい海をテーマにしたことに後悔は無いかと言うと、正直辛いことも多い。でも、雄輔さんが言うように「好きなんだから」しょうがないわけである。

なんで雄輔さんにインタビューまでして、こんなに長くトカラは撮影が難しいということを書いたかと言うと、今回、普段でも難しいのに、加えて南西の強風が続き、爆シケで島々の西にメインのポイントが多いトカラでほとんど西側のポイントに潜れず、かつ何故か黒潮が当たっていない、変な潮回りかつ、浮遊物が多い透明度の悪い海中、頼みのクジラも見当たらない、、、。

こう書き連ねると、最悪じゃないか!って感じなのだが、ダイビングを含めたクルーズすべての“過程を楽しむ”ということであれば、その悪天候も楽しむしかない。海賊に悪天候と苦難はつきものなのだ!と言うことで、こんなコンディションでどんなポイント選択をして、どんなダイビングをしたかを、お伝えしていこうと思う。今後こんな爆シケ、悪天候に遭遇した参加者も、自分の置かれた環境がどんなであれ、覚悟を決めて、海を渡る海賊のように楽しんでください!!ということで!前置きが長くなってすみません。

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