2024.01.15
奄美から枕崎までのワンエク・トカラ縦走クルーズ上り(3月と10月に乗船して)
2023年3月のトカラ縦走上りクルーズ
ワンエクは、いつもは鹿児島の枕崎を起点に各クルーズを行うが、奄美を起点に北上するルートはこの時初めて企画された。個人的にも、トカラ南部の海域に踏み込むのは初めての体験。それだけでも、冒険心をくすぐられた。一体どんな海が待ち受けているのか。
初めて訪れた悪石島のパワーに圧倒される
奄美を出港して最初に向かったのは、風の関係もあり、横当島、宝島、小宝島を飛ばして、悪石島。トカラ列島や大隈諸島は、海底火山が噴火して、海面まで隆起した島々で構成されている。各島温泉が自噴しているだけでなく、諏訪之瀬島や中之島、口永良部島、硫黄島など、いまだに激しく火山活動を続けている島もある。
そんな中でも悪石島は海から競り上がる断崖絶壁が眼前まで迫ってくる迫力を感じて、トカラにある島の中でも一番パワーを感じる島だった。港の温泉近くにある遊歩道はビロウの葉に覆われていて薄暗く、なんとなく“もののけ姫”の世界観を体験できる。どこかにこだまや、猩々(しょうじょう)たちが潜んでいそうな雰囲気を醸し出す。この時は、野生のヤギが一瞬姿を見せた。岩上に立つ子ヤギの姿が、シシ神様を連想させた。
巨大ハンマーが姿を見せた悪石島のダイブポイント
悪石島周辺で潜ったノンゼ岬や畝神というポイントでは、20匹ほどの特大サイズのハンマーの群れに遭遇した。
北上するザトウクジラを捜索、トカラ初!水中遭遇を果たす
諏訪之瀬島は、悪石島の北にある、トカラの中でも今現在火山活動が活発な島。この時も、同島周辺で北上するザトウクジラを捜索しようとしたが、水蒸気爆発が起こり、島の周辺海域は噴煙に包まれて視界が無くなり、中之島まで北上してクジラを探すことを余儀なくされた。噴煙で視界が奪われるって・・・、まるで太古の世界にタイムリープしたみたいだ。
移動した中之島では、ほぼ同じ場所で浮上を繰り返すペアを発見した。動いていないクジラに遭遇できるなんてラッキーだ。諏訪之瀬島で、噴火に遭遇していなかったら遭遇できていなかったかもしれない。ペアなので水中にいる時間は長いが、浮上したタイミングに合わせて静かに接近し、潜る寸前でエントリーしてチェックしてみた。多少深めではあるものの、停止しているのが水面から確認できたので、ゲスト全員にエントリーしてもらい浮上してくるのを待った。海中滞在時間が長かったが、ペアで浮上してくるところをカメラに収めることができた。
芽瀬では、ソフトコーラルの海底を這うように泳ぐ巨大ハンマーに遭遇
トカラ最北端の島、口之島に滞在して潜ったトカラの代表的なダイビングポイント、芽瀬は、タイガーシャークやハンマーヘッドシャークとの遭遇率の高いポイントで、大きな瀬を流れに乗ってドリフトするポイント。過去に100匹を優にこえるイソマグロの群れに囲まれたこともある。
口永良部島では無数のウミヘビに囲まれる
口永良部島の長瀬というポイントでは、無数のウミヘビに取り囲まれた。大潮が関係しているのか、こんなに集まるのは、交尾目的以外考えられない。ダイバーについて泳ぐ無数のウミヘビ、猛毒があるが普通のヘビと違い口を大きく開けられないとは言え、あまり気持ちの良いものでは無いのだが、これだけ沢山いると撮影意欲は湧いてくる。
どんなタイミングで、どの場所でこの集団移動が起こるのかは、今後究明してもらいたい。気持ち良くは無いけど、なかなか見られない生態シーンだった。
初春のトカラはまだ水温も低く、サメとの遭遇が期待できるシーズンだ。実際に下りでは口永良部島で100を超えるハンマーの群れにも遭遇している。また、北上するザトウクジラと泳ぐチャンスもあるため、大物を期待したいダイバーにはお勧めだ。