2025.08.15
玄界灘・沖ノ島に棲みついたミナミハンドウイルカの家族との交流物語
2020年8月12日、産まれたばかりの赤ちゃんを連れて来た! SUNの誕生
「今年に入ってイルカたちが姿を見せないんですよ」イルカたちが沖ノ島で見られるようになった翌年の夏、木村さんから告げられたこの一言は、イルカたちに会えるのを楽しみに玄界灘に来ていた僕には、少なからずショックな話しだった。
また新天地を求めて、旅立ってしまったのか。沖ノ島は餌になる魚は豊富だけど、彼らが棲むには適してなかったのかもしれない。そんな事を色々考えたりしながら取材に訪れた。


魚影豊かな玄界灘の海中
「もう彼らに会うこともないのか…」
ところが、ロケの初日。あまり期待せずに彼らの棲む海域をチェックしていると、
「いた!」イルカたちは、去年と同じように僕らの前に姿を見せてくれた。しかも、3頭のイルカの真ん中に、一際小さな赤ちゃんイルカの姿が!
はやる気持ちを抑えて、静かに海に入る。追いかけるのでは無くて、向こうから来てくれるのを待つ体勢。ドキドキしながら待っていると、お母さんイルカにピッタリくっついて泳ぐ、まだ胎児線が沢山残る赤ちゃんイルカの姿が!
『うぁっ!小ちゃい!かわいい!』心の中で僕は大声で叫んでいた。赤ちゃんイルカは、お母さんに置いてかれないように、必死にテールを上下させて泳いでいた。まるでゼンマイ仕掛けのおもちゃみたいな動き。
何度か赤ちゃんをお披露目に戻って来てくれて、お母さん以外の大人イルカたちは、2頭を守るように泳いでいた。僕を警戒もしつつ、赤ちゃんも紹介しに来たって感じなのかな?まあ、勝手な思い込みかもしれないけど「探しても、しばらく姿見せなかったのに、越智さんが来たらちゃんと赤ちゃん見せに来ましたね!」と木村さんから言われるとまんざら悪い気はしなかった。
赤ちゃんに名前を付けようかと言う話になり、色々な意味を込めて、サン(SUN)と名付けた。SUNSのSUN、もののけ姫のサン、3頭のイルカの3、色々あるけど、太陽のように、元気にスクスクと成長して欲しいという願いも込めて。そして、その成長をずっと見守って行けたら、こんなに素敵なことはないのではないかと当時のブログに書き記していた。