ワンエクロゴ

2024.11.25

夢を見るなら ~宇治・草垣群島クルーズ~

おどろきの宇治群島の海

その険しい島々に胸を躍らせながら、船はゆっくり島に近づきポイント調査に入る。お天気も良くじりじりと夏のなごりのような太陽が背中を差してくる。僕らもウェットスーツに着替えたり器材やカメラのチェックを進めたりしつつその時を待つ。そして30分ほど島の周りをウロウロし、思った以上に慎重にポイントを選んでくれていた。
「ここは良さそうだけど、流れが強すぎる・・・」「ここは魚の反応が弱いな・・・」そんな木村さんのアナウンスを聞きながら待機をしていると、「ここは魚の反応良さそうなので潜ってみましょう」という言葉でダイビングがスタートする。

丁寧なブリーフィングが、緊張の糸をほぐしてくれる

「初めて潜るので・・・」という言葉から始まるブリーフィングであったが、初めてのこととは思えない口ぶりだった。地形のこと流れのことなどを丁寧に僕らに伝えてくれる。そして「たぶん水深30mくらいにムレハタタテダイがいるような気がします」という言葉でブリーフィングが終了し、エントリーの準備に入る。
一緒に乗船した皆が初めての海である。その目がキラキラと輝いていた。そして、この胸のワクワクこそワンエクなのだ!

海は青い!さあ未知なる海へ飛び込もう!

ポイント名は「コベット」。宇治群島東側の沈み瀬に潜る。少しだけ水面に頭を出している根の横にちょっと深めの根があり、この辺りに魚が群れているだろうとのこと。僕らはそこを目指して潜っていく。初めて潜る海で魚探のイメージだけで潜っていく、その木村さんを信じて僕らは着いていくのみ。少し泳ぐと目的の根が見えてくる。木村さんの泡の向こうにうごめく集団が!良く見えない、泡の向こう側に行こうと少し速度を上げてその先を見ると、その根を覆うほどの、とても凄い数のムレハタタテダイが現れる。
こういったときは、慌てずまずその群れの動きを観察し、撮影のプランを立てる。
そして気付けば、木村さんはその群れの中心にすっと入っていた。そして、まるで指揮者のように腕を振り始める。するとそれに呼応するかのように、周りにいたハタタテダイが集まってくる。
しばらくその光景に見とれていたが、我にかえり慌ててカメラを準備してその群れの中心に向かって泳いでいく。きっと僕史上最高の数のハタタテダイだったのは間違いないだろう。ファインダーに没頭した。

3.どこを見てもムレハタタテダイなので、どこを切り取るかとても迷った・・・
1.巨大なムレハタタテダイの群れが、大きな根を覆う。こんな数見たのは初めてだ!
2.木村さんの指揮に合わせて、魚が一斉に向きを変える

もう、多くを語る必要はなく、写真が全てを語ってくれていると思う。もちろん経験があるとはいえ、潜ったことのない海にいる魚の種類まで当ててくるなんて、驚きと尊敬とちょっとの嫉妬を抱えつつ最高のダイビング楽しむことができた。透明度も30mほどはあった。フォト派チーム数名で潜っていたのだが、ハタタテダイの群れが大きいのでお互い干渉することもなくそれぞれが撮影に集中できた。そんな経験も初めてかもしれない。
2本目は雀島というポイントにエントリー。ここも初めてのポイントだ。ここはさっきのポイントとは違い、根の上にキンギョハナダイが群れいて、キンメモドキやソフトコーラルもたくさんで、とても華やかなポイントだった。1本目と2本目の濃淡が面白く、この日は2本しか潜れなかったが、宇治群島のポテンシャルを知るには十分だった。

根の上にはキンギョハナダイが群れていた、こんな景色がどこでも見られた
そこにグルクンたちもやってきてとても賑やかに
根の下には、キンメモドキがたくさん!
根の周りにはソフトコーラルも多く、カラフルなものを久々に見てカメラを向けてしまう(笑)

安全停止中には、記念ダイビングのメンバーを祝うかのように、ツムブリの大群に巻かれたりと大満足な一本となった。

人懐っこいツムブリが、僕らの周りをぐるぐるぐる
水面に出るととても穏やかで、空も真っ青だった「すごかったね~」と皆で盛り上がるこの時間が好き

宇治群島ではたったの2本。あまりにも未知の海だったこの群島をじっくりと攻めてみたい場所だった。そしてその沖には草垣群島もあり、そこはもっと想像を絶する海があると思うと、再訪しないわけにはいかなくなった。いつか宇治・草垣群島を数日かけてじっくり潜り倒したい。きっともっとすごいに出会える気しかしなかった。
そして船は今日の宿泊地、甑島へと向かった。

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