ワンエクロゴ

2024.04.15

「そりゃあ、(この海が)好きだからだろ、やっぱり!」2024年ワンエク・トカラ列島縦走北上クルーズ&調査クルーズリポート

苦肉の策と、調査ダイブの練習?湾内に溜まった流れ藻の下を潜る

中之島で2本潜った後は、口之島に戻り湾内に溜まっていた流れ藻の下を潜る。
この後の調査ダイブは、元々、この時期にテニスコートサイズにもなる流れ藻の集合体の下には、バショウカジキが群れていて、入れ食い状態になるという船長からの情報をリサーチするというものだったので、外洋での流れ藻の下を潜る練習と思って潜ってみた。正直、こうでもしないと潜る場所が無いというくらいに爆シケは続いた。

日本の北限?否、世界の北限?北緯30度の定番マンタポイント

3日目は、もう他の島へ移動も困難な状況になり、口之島の東側のポイントへ。「口之島の東側はだだっ広い砂地なので、よっぽどじゃないと潜らないです」と言っていた木村さん。「え、砂地でも全然いいのに」と内心思っていたが、とうとうその日が訪れた。1本目は、海底温泉の湧き出る砂地とリーフのポイント。ポイント名は潜る直前に“期待を込めて”と命名された。

火山の島にありがちな黒っぽい砂地が広がる

期待した大物はいなかったものの、海底からポコポコと湧き出る温泉の気泡が幻想的で、これはこれで面白かった。因みに手をかざしてみたが、水温は暖かいわけではなかった。

砂地の海底から湧き出す温泉の気泡、ポコポコと出てきていて幻想的で可愛かった

2本目は赤瀬という、これも同島の北東に位置するポイント。実はここ、日本最北端(と思われる)のマンタポイント。10月から5月上旬(水温26度以下)が、このポイントでのマンタシーズン。八重山諸島の黒島同様、捕食マンタが水面で見られ、多い時には10枚ほどのマンタが目撃されることもある。因みに、同島では、クリーニングステーションはまだ見つかっていない。なんだ!そんなポイントもあるのか、と思いながら水面を捜索していると、イルカの群れに遭遇。素潜りでアプローチしてみようかなとウロウロしていたら、イルカの背びれとは違うものがパチャパチャしているのを発見。捕食マンタだ!しかも4枚くらいはいる。

ターゲットを変更して、ダイビングでアプローチすることに。水面下には濁りがあり、一度に複数枚は確認できなかったけど、大小3枚のマンタが行ったり来たりしているのを確認できた。

捕食のために水面近くを旋回するマンタ

3本目も東海岸、潜る前に“アカモン天国”と命名。名前のとおりアカモンガラだらけのポイントだが、エントリー直後に根の上に巨大なマンタを目撃。「もしかしてクリーニングステーション発見か!?」と期待したが、戻ってくることは無く、海の彼方へと姿を消した。

マンタのクリーニングステーションか!と一瞬思われた根にはカシワハナダイがコロニーを作っていた

それにしても、沖縄よりもさらに北でマンタが定番で見れるポイントがあるとは、トカラ恐るべし。因みに、沖縄とトカラの間の奄美では、マンタはほとんど目撃されることはないのだけど、過去に一度だけ取材で撮影したことがある。その時は、一緒に潜ったガイドが見ていなくて、「マンタ撮影した」と言っても信用してもらえず、撮った画像を見せたら、愕然としていた。彼は奄美でガイドしていてマンタを一度も見たことが無かったのだそうだ。口之島は奄美よりも北、北緯30度に位置する。日本の北限、というよりはもしかしたらマンタを定番で見られる、世界の北限なのかもしれない。

ゲストの周りを旋回してくれたマンタ

超爆シケでとうとう欠航。荒波のアート写真?

4日目、とうとう爆シケ過ぎて、口之島の湾内から船を出せないくらいの大荒れに!この日は、皆で温泉に行ったり、民宿の裏庭でバーベキューしたり、昼間から飲んだくれたりしてのんびりと過ごすことになった。風が一番激しい時間帯に、港に海を撮影しに行った。激しく波が打ち寄せて、自然のパワーを感じる瞬間だった。今回の取材で一番気に入った写真は、実はこの防波堤に打ち付ける波の写真だったりする。

口永良部島、冬場のハンマー群狙いポイント

何がなんでも鹿児島の枕崎まで戻らなければいけない最終日の5日目。トカラ列島を離れて、大隈諸島の口永良部島まで一気に北上。そう、口之島に4泊しながら、メインのポイント芽瀬は一度も攻めることなく終わった。欠航した昨日に比べて、海は多少穏やかになったものの、普通に考えたらまだまだ爆シケ。正直、そんな中での長距離移動は身体に応える。口永良部島まで着くと多少波風がおさまり、平瀬、平床の鼻、野崎といった、ハンマー狙いのメインポイントに潜れた。毎回、複数のハンマーに遭遇、平床の鼻では50~100頭の群れに遭遇。しかし、連日のうねりで透明度は厳しい。浮遊物も多い、、、。撮影は困難を極めた。どんなにコンディションが悪くても、これだけの生き物が見られるという証拠を残さなければならない、毎日が証拠写真の撮影に終始した今回のクルーズ。正直に言うと写真家としては、発表するのも躊躇するような写真ばかりだが、取材者としては記録を残し、伝えなければいけない。そんな葛藤と日々戦いながらのトカラ列島縦走北上クルーズ2年目(3回目)の乗船となった。

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