2026.07.01
鬼界 KIKAI
メインビジュアルへの思い
一昔前、作品を発表できる場所は雑誌や新聞などの紙媒体にほぼ限られていましたが、作品に対する価値は今よりも適切に評価してくれていたと感じます。とあるカメラ雑誌のグラビアは写真家にとってプロへの登竜門とされました。しかし、現在はオウンドメディアが増え、逆に紙媒体は力を失ってきています。パンデミックの影響でさらにそれらは加速し、正直、作品を温めていく必要性を見失いつつありました。
脳内に長年沸々と温めてきた作品たちが世に出たいと煮えたぎっている状態は、まるでマグマを蓄え山体が膨張した状態によく似ています。ギリギリまで温め、ここぞというタイミングで一気に噴出する。これは私が作品展を開催する時に大切にしているイメージです。しかし、SNSなどの承認欲求にまみれた世界に囚われると、作品として温められる前に次々と外部に写真は流れ出てしまいます。崩壊した自制心では流出の勢いは止められません。そして空っぽのマグマ溜まりのように、写真のストックは底をつきます。燃えるような色の海を撮影中、目に見えた景色がこのような深層心理と重なっていきました。
今回は写真展の会場で受注販売となる大型のフォトブックを制作中です。少しだけネタバレしますと、その中には写真展には展示していない写真も多くあります。こちらの写真は写真展のメインビジュアルと同じタイミングで撮影したものですが、ダイバーは明るい光の射す場所へ向かっています。写真展とフォトブックが表裏一体となってひとつの世界観を表現しています。


