2026.09.15
来訪神と航海民 〜それらはどこから流れ着いたのか〜
ルーツ
薩摩硫黄島のメンドンや悪石島のボゼは、私が長年通ったパプアニューギニアの部族が扮する精霊の姿に酷似している。ボゼマラという男性器に見立てた棒についた泥をつけることで厄を祓うボゼ。パプアニューギニアの部族の中には泥を体に塗りたくって悪魔や災いを追い払うという風習もある。しかし、島民にボゼのルーツがいったい何処からきているのかを聞いても明確な答えを得られない。南方の海や異界から来たというざっくりとした答えが多いのである。そこで、私はある民族の存在に注目した。約3000年前にメラネシア地域に暮らしていたという人類史上初めての遠洋航海民族ラピュタ人である。一説には、ラピュタ人のルーツは高度な文明を持っていた南九州の縄文人だったのではないかと言われている。
約7300年前、地球上最大の海底火山の噴火(アカホヤ噴火)によって鬼界カルデラが生まれた。その噴火によって南九州の縄文人は文化もろとも殲滅したと言われている。しかし、一部の縄文人は朝鮮半島などに避難して漂海民として生き残ったのではないだろうか。その後、航海術に長けた縄文人は東南アジアやメラニシア、ポリネシアなどに移り住んでいき、その一部が黒潮を渡ってトカラの島々に出戻ったのだとしたらどうだろう。そして彼らが悪石島や薩摩硫黄島に仮面神の文化を持ち込んだのではないだろうか。そうなると、これまで私がテーマとしてきた鬼界カルデラとボゼ、そしてパプアニューギニアの精霊信仰が一つに繋がっていく。まるで都市伝説のような話かもしれないが、実際に現代のゲノム研究によって朝鮮人と琉球民、南九州の縄文人の遺伝的な祖先は繋がっていることがわかっている。
もしかするとこれは文化人類学的には暴論なのかもしれない。しかし、火山の島々に伝わる仮面神の存在や泥を魔除けとして使う伝統、そして手付かずの海中の景色など、私が愛してやまないパプアニューギニアと酷似していることがわかってきた。海は一つにつながっている。それぞれの点と点を線で繋いでいくことで新たな作品への世界観が無限に広がっていく。
トカラ・ニューギニア
外洋エキスパート企画でも、中之島の「ラクダNaked」に数回潜ったが、そこはやはりパプアニューギニアの海の景色に酷似していた。パプアニューギニアへの憧憬を抱きながら撮影したトカラの作品をご紹介する。






